ここ最近、別席がどのような変遷を遂げてきたかを取り上げてきましたが、少しおさらいをしておきたいと思います。
①明治二十一年八月二日の「おさしづ」をうけて、静かな場所で三席の別席をきかせていただくようになります。
※別席の運べる回数については、明治二十一年十一月七日の「おさしづ」で、おぢば迄の距離の遠さを「遠・中・近」に分けて、一カ月運べる別席の回数が変わるようになりました。
②明治二十二年十月十七日の「おさしづ」によって、これまで原則一カ月に三回だった別席を九回運ぶように変更されます。
③明治二十三年一月十三日の「おさしづ」によって、「初試験」を施行されるようになりました。
そして、
④明治二十三年七月十三日のおさしづによって「仮席」を行うことが示され、これまでの【初試験→別席→試験→本席】という順序が【初試験→別席→本席→仮席】
と変更されます。
今回は④明治二十三年に追加された「仮席」について学ばせていただきます。
特に
1.仮席が設けられる経緯
2.現状の仮席について
みていきます。
目次
仮席が設けられた経緯
仮席は「おさしづ」によって設けられることが指示されました。
「…だん/\のさづけと言う。何程なりと運ぶがよい。一日に事情は三名よりならん。そうしたら席の所へ立ち並ぶは、すっきり二名と定める。一名は願い、一名は書き取り、一名に二人の事情を付けにゃならん。三名仮席に入れて、二人事情を付けにゃならん。三名は又仮席へ入れる。事情速やか改めて、二人の席許そ。書き取りは大抵この人と、これまで聞き分けある。言うまでにある。それより二名考えて、それを運び掛ける。そうしたらさづけ順序、一つの事情も変わる。…」
「おさしづ」「明治二十三年七月十三日(陰暦五月二十七日)午後八時 本席の歯の痛みに付願」
※下線は筆者が付けたもの
当時、いまだ官憲からの目も厳しく、おさづけの理を拝戴する人数は一日三名と定められていました。
その席には「願い」を伺う人と、神様の言葉を書き取る人が同席していまいた。
ここまでは以前の形と同様ですが、その後、おさづけの理を拝戴した後、二名の方から仮席の話を取り次ぐことが示唆されたのです。
仮席では「おかきさげ」を渡す
仮席について示唆された二日後の「おさしづ」において、
「さあ/\一言々々話して、これまでの書取渡すのや。渡すのが第一やで/\。後より渡すのが第一肝心やで。さあ/\これまでの書付は、皆んな渡すのやで。さあこれから先の書付は、皆一人々々の心の理に又諭すによって、これまでの書付と、それに添えて、後で書付渡すのが第一肝心や。これだけ諭し置く。」
「おさしづ」「明治二十三年七月十五日(陰暦五月二十九日)おさづけ順序後へ御話」
そもそも「おさしづ」は書き取り人が誤りのないことを確かめた上で浄書したものです。
当時は、おさづけの理を頂戴する際にお聞かせいただいた神様のお言葉は願い人に渡していました。これを書き下げといいます。
「これまでの書取」について
上記の「おさしづ」で「これまでの書取」「これまでの書付」と言われるのは、現在仮席にて渡される「おかきさげ」のことです(以下で示す「おかきさげ」①のこと)。これは言うなれば、おさづけの理を拝戴する際に頂戴していた神様のお言葉を記した「おさしづ」のことです。
これを機に統一されて「おかきさげ」と呼称されるようになりますが、それまでの一定の内容でないおさづけの理を頂戴する際に合わせていただくおさしづは「おさづけおさしづ」と呼ばれていました。
話がそれましたが、
つまり上記の「おさしづ」をうけて、一人ひとりに与えられる神様のお言葉としてではなく、これまでに諭されたお言葉を包括した一定の書き物として渡されることになったのです。
山本久二夫 中島秀夫 著『おさしづ研究上』によると「…一定したおかきさげとするについては、これまで直接お諭しいただいたお言葉を網羅して整理し、本席からお許しいただいて決定したようである」と「おかきさげ」の作成について述べられています。
これから先の書付について
では「これから先の書付」というのは何か?
これはおさづけの理を頂戴する際、神様から直接頂戴するお言葉の書取のことを意味しています。
ですから、仮席では「これまでの書取」(以下「おかきさげ」①)と「これからの書取」(以下「おかきさげ」②)の二種類を渡されることになったのです。
これは現在も続いています。
仮席のタイミング
当時の人々は仮席を実施するタイミングについて伺われています。
押して、本席へ出るまでに仮席を致しますか
「さあ/\仮席はどういうもの、本席事情心添えさせ、前々の理である。仮席一名に二名、事情の理を治め。呼び出し一名、書き取り一名、願人一名、仮席三名の席、二名心の理を治めさそう。後十分の理を諭しくれ。書取見て、鮮やか分かる者もあれば、分からん者もある。後や先は混らんよう。生涯々々の理で順序の理、直ぐと受け取る、直ぐと返えす。どれだけさづけ/\と言うても、心の理が無くばどうもならん。」「おさしづ」明治二十三年七月十六日
仮席の行うタイミングは本席の後に設けると仰せられています。
「二名心の理を治めさそう」とは、仮席では二名の取次からお話を聞かせると仰せられています。
ようぼくになった30才までの人には一文を添えられる
さらに三十才までの者に対しては、
「さあ/\一寸さしづするで。年齢々々の処、三十才までは第一前々に諭した。前々の理、これを書き入れんならんで。」
「明治二十三年七月十七日(陰暦六月一日) おさづけ順序の後にて心得のため御話」
と、以下のお言葉が追加されることになります。
「又一つ、第一の理を諭そう。第一には、所々に手本雛型。諭す事情の理の台には、日々という、日々には家業という、これが第一。又一つ、内々互い/\孝心の道、これが第一。二つ一つが天の理と諭し置こう。さあ、これより先永く変わらん事情に。」
「おかきさげ」
これら明治二十三年七月十三日からの一連の「おさしづ」によって、「おかきさげ」が心の定規として仮席という席上で渡されることになりました。ここで一通り【初試験→別席→本席→仮席】という順序ができあがり、現行の別席制度の礎が築かれたのです。
現行の別席制度
ちなみに、現行の別席制度では、
別席の誓い
↓
別席
↓
本席
↓
仮席
という順序になっております。
詳しくは
現在の仮席の内容
おさづけの理が授けられた後に行われます。
おさづけの理を頂戴した人は「ようぼく」という立場になります。
仮席では「ようぼく」について「仮席の栞」を用いてその角目をお教えいただきます。
仮席の栞
・おさづけの理について
・ようぼくの心の治め方
・おたすけに出向いた時の心得
・おさづけの取り次ぎ方
などが記されています。この内容についてはまたの機会に回します。
そして、仮席においてもっともおもきが置かれているのは「おかきさげ」の説明です。
「おかきさげ」というのは、ようぼくの生涯の通り方を記されたものを書いて渡されるものです。
仮席では「おかきさげ」の内容について、悟り違いのないように神様の思召を添えてお伝えくださいます。この内容についてものちのち詳しくやりたいと思います。
基本的にはこの二枚の「おかきさげ」はおかきさげ袋に入れて保管します。
おかきさげ袋
この内容は「仮席の栞」に記載されていますので、そちらをご覧いただけたらと思います。
まとめ
別席制度の変遷を年代ごとに確認してみると、おさづけの理を受ける人々を育てよう導こうとする親心をひしひしと感じることができます。
より理解が深まるように、種々と制度が整えられていくわけですが、、、
では現在の別席制度を私たちはどのように認識しているでしょうか?
明治から見れば種々と変更されている部分があるわけですが、おさづけの理を頂戴するということが形骸化して、その本質を見誤っていないでしょうか。
ここだけの話ですが、仮席の内容を私自身はまったく覚えていません。
今回、仮席についてフォーカスしましたが、多くの方が「おさづけの理」を頂戴することに意識が向けられており、多くの方は私と同じように仮席において取り次いでいただいた内容を覚えていないと思います。
仮席では「おかきさげ」や「仮席の栞」などをお渡ししていただきますが、おさづけの理拝戴後に活用されているでしょうか。。。
おそらく大多数の方は活用できていないのではないかと思います。
「おさしづ」に
「…一日仮席に彼是話長う伝えたら、何聞いたやら、分からんようになる。初め味ようた味忘れて了う、と、前に伝えたる。又、前々席言葉下だして言葉添えたる。どれだけ諭す事出けん。そこで何年経っても、ほんになあと鮮やか忘れんよう書き取って渡す。…」
さらに
「これを、どんな者でも二度三度五度六度何度も返やして言うて聞かせば、どんな者でも治まる。治まりさえすれば、内へ戻りていつまで経っても廃らん。」
「おさしづ」明治三十三年十月十一日 過日のおさしづにおさづけ戴きたる人々に、言い渡し致す処書下げと仰せ下されましたが、その日の御諭しの書下げのみの事でありますや、又以前仰せ下されました長き書取りも言い聞かします事でありますか、と押しての願
と、仰せられています。
仮席が設けられるようになって十年後のおさしづですが、おさづけの理を拝戴したようぼくは「おかきさげ」を拝読するようにして、神様が示されたようぼくの心を十分に治めるように仰せられます。
書物は大切にとっておくことより、擦り切れるほど読んでもらうことの方が本望だと思いませんか。
せっかくお渡しいただいた「おかきさげ」「仮席の栞」に一度目を通すことをしてみましょう。
きっとあなたにとって勉強になることが沢山あるはずです。
そこで次回から「おかきさげ」「仮席の栞」についてより詳しく学びたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
さあ、共に教えをもとめて歩みだしましょう。